榮島英剛 パクステルレーナ

なぜ鍼灸をはじめようと考えられたのですか？

中学時代、私は陸上競技部でした。陸上競技は意外に怪我が多く、私も疲労骨折、腰痛、足の痛みなどを経験しました。治療は整形外科で功を奏したものもありましたが、経過が芳しくないものもありました。そんなとき、どうにかならないかと藁にもすがる思いで鍼灸マッサージを受けたところ、快方へ向かい、一気に虜になりました。鍼灸の素晴らしさを知り、自分でも鍼灸を使ってみたい、治療したいと思うようになったのです。

鍼灸学校は自動車学校のように実技と学科があり、さらに期間はみっちり勉強できる3年間。筋肉、骨、神経、疾患などについての西洋医学、経穴（ツボ）、経絡などの東洋医学と両方学びます。そして、まだまだ学び足りないと感じ、鍼灸マッ サージの国家資格を取得後、 鍼灸学校で教える教員資格も取得しました。

最近は施術を行うのみになっていますが、以前は鍼灸学校で教えもしていました。鍼灸のよさを一人でも多くの人に伝えられればと思っています。

特に気を付けていることやこだわりはありますか？

当治療室では、皆様の心身の状態について詳しく把握するため、初診時には飲食、睡眠、お通じ、発汗などお身体の状態を記入していただき、それをもとに30分ほど時間をかけてお話を伺います（他の人に聞かれたくないことでも安心してお話しいただけるよう、各部屋はカーテンでなく壁で仕切るつくりにしています）。

その後、患者様の身体にとって最適な施術を行っていきますので、トータル2時間ほどお時間をいただいています。身体の反応が現れやすい、脈、舌を参考にして、厳選に厳選を重ねたツボに1本1本心を込めて鍼灸をします。なお、患者様の衣類がシワにならないよう、患者着も用意しています。

鍼灸､美容鍼灸､骨盤温灸､アロマ､酸素カプセルと興味深いものがあり､迷ってしまいますね。どれを受ければいいのでしょうか？

これからの展望を教えてください。

ある一人の健康を考えるだけでなく、同じような健康被害をこれ以上出さないために何ができるのか――。これを日々考え、そのための行動を起こしていきたいです。

私たちの健康と、社会環境は切っても切り離せません。たとえば、過酷な労働条件による職場でのストレスによって心身の不調を訴えている方がいたとします。このような場合、当事者が体調を回復すると同時に、労働環境との因果関係を明らかにすることが重要です。

当治療室は、鍼灸を通じて個々の健康とその健康が保たれるための社会とは何かを常に考えながら歩んでいきたいと思っています。そして、一人でも多くの人に鍼灸の良さを知ってもらい、鍼灸がより多くの方の選択肢に入るようになればと思います。その期待に応えられる鍼灸師になるよう日々精進していきたいです。